研究内容

希少難治性疾患に対する新たな医薬品等医療技術の実用化に関する研究

厚労難治ポンチ (2)

H24厚生労働省難治性疾患克服研究事業 重点研究分野 希少難治性疾患に対する新たな医薬品等医療技術の実用化に関する研究(ステップ1)の採択を受け、「網膜色素変性治療をめざした経強膜ウノプロストン徐放法の開発」を検討しています。
http://www.nanbyou.or.jp/entry/2694

網膜の治療や病態解析に関する研究

約35~40億年前に誕生し、最初は1つだった生物は、現在では5,000万とも8,000万とも言われる種類が 存在すると言われています。進化の過程で8,000万まで“多様性”を持った、という言われかたもします。
この多様性に 大きい影響を与えたのは今から5億4,300年前のカンブリア期であるとされています。大きい影響を与えた原因には さまざまな説があります。酸素の増加なども重要な枠割りを担っているでしょう。
しかし、我々は “眼の誕生“が重要な役割を 担ってきたと信じています。カンブリア期にちょうど時期を一致して突然出現したと考えられる眼は(三葉虫?)、 一時期この生物に独占的な世界を与えました。それまでは触覚などが主な感覚器だった生物が、眼の誕生で独占的に獲物を獲得し、 外敵より簡単に自分の身を守れるようになりました。 眼は生命の多様性をもたらしてきたし、 現代でも眼の正常な機能なしに生活の質の維持・向上はありえません。まだまだ難治性で治療法のない眼疾患、特に網膜疾患が たくさん存在しますが、この眼を守ることに細胞移植、遺伝子治療、組織工学、ドラッグデリバリーシステムといったものを導入して、新しい治療法を開発しようとする研究室です。
眼科学教室と一緒にさまざまな治療法の研究が早く臨床の現場に導入されることを常日頃から念頭におき、研究を行っています。

細胞移植治療に関する研究

虹彩など眼球の非神経細胞を培養条件を調整して神経細胞特有のマーカーを発現させ、 必要な細胞のみを分離して移植します。また、この細胞にさまざまな遺伝子を導入して神経細胞保護因子を 分泌させて神経網膜の保護を目指しています。
我々はこれまでに、加齢黄斑変性の患者さんに、培養した 自己の虹彩色素上皮細胞を移植する臨床応用も実現してきました。 現在はコラーゲンにあらかじめ培養してから移植する方法や、神経網膜細胞の機能解析など、様々な網膜疾患に適応できる治療法を検討中です。

経強膜ドラッグデリバリーシステム

網膜は一度障害されると再生は難しいため、薬物投与による予防的治療が行われます。 しかし、眼の最深部にある網膜に薬を届けることは容易ではありません。 現在は眼に注射をしたり、インプラントを入れて眼内に直接投与する方法が行われます。 しかし、手術に伴う感染症や副作用の危険性が高く、患者さんへの身体的負担が大きいことが課題です。
そこで我々は、眼内ではなく眼外の強膜(白目)に置くだけの経強膜ドラッグデリバリーシステムを開発しています。 強膜から薬物を網膜へ持続的に浸透させることで、悪い部分を局所的に治療できる可能性があります。 工学研究科との共同研究で持続的に薬物を徐放するカプセルデバイスの開発に成功しました(Biomaterials, 32(7), 1950-1956)。 これがうまくいけば、面倒な点眼や侵襲的な眼内投与をすることなく、安全に簡便に網膜疾患の治療をできる可能性があります。